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心不全の人がインプラント治療を受けるときの注意点

インプラント治療では、持病により治療に注意が必要なことがあります。心不全はその一つであり、時には治療ができないこともあります。心不全とインプラント治療の関係や、治療における注意点を紹介していきましょう。

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参照元:【PDF】「口腔インプラント治療指針2020 検査法・診断からリスクマネジメントまで」|公益社団法人 日本口腔インプラント学会
https://www.shika-implant.org/publication/dl/2020_guide.pdf

心不全はインプラントができない場合がある

心不全が重度な場合はできない

心不全は、その名称通りに心機能が低下した状態のことです。軽度のものから重度のものまであり、重度の場合では身体活動も大きく制限されてしまいます。インプラント治療では、外科手術がありますので、重度の心不全の場合は治療ができない場合があります。心不全にはさまざまな原因や病態があるため、医科のドクターと綿密に連絡を取ることが重要となります。また、心不全そのものは、手術や治療にとってリスクになるものの、治療後の経過に影響を与えるものではありません。

心不全がインプラント治療できないリスクとは

では、具体的に心不全でインプラント治療が受けられないリスクとは、どのようなものでしょうか。まず、考えられるのは感染症です。インプラント手術により一時的に菌血症(血液に最近が入ってしまうこと)を発症したとき、重度の心不全では免疫も低下していますので、感染性の心内膜炎や心不全の急性憎悪が考えられます。また、心不全の患者さんは虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)の既往がある場合も多く、抗血栓薬を処方されていることがあります。インプラント手術前には休薬する必要がありますが、その期間に心血管イベントが再発する可能性もあります。

参照元:【PDF】「口腔インプラント治療指針2020 検査法・診断からリスクマネジメントまで」|公益社団法人 日本口腔インプラント学会
https://www.shika-implant.org/publication/dl/2020_guide.pdf

心不全でもインプラントを受けるには?

急性期から期間を空ける

心不全の症状が心筋梗塞で起こった場合、発作直後の急性期にはインプラント治療が出来ません。基本的には心筋梗塞の発作から6ヶ月以上経過し、良好な経過をたどっていればインプラント治療も可能です。その他の原因による心不全でも、心機能が低下している急性期を避けて、投薬などによって良好なコントロールができていれば、治療が可能となるでしょう。

術前管理や術中管理も重要

心不全の場合には、必ず患者さんが通院している医科との連携が不可欠です。協力して事前検査をしっかりと実施して準備をしてもらいましょう。また、手術中も生体モニター(血圧や血中酸素飽和度)で監視して、静脈内鎮静法を併用することが好ましいとされています。

心不全のインプラント事例

以下は57歳男性のインプラント治療の事例です。
男性は糖尿病、発作性心房細動、脳梗塞、高血圧症、陳旧性(古い傷跡のようになった)心筋梗塞、不安定狭心症の既往があり、52歳のときに心不全の診断を受けています。不安定狭心症は、心筋梗塞に移行する可能性が高いため、医療側では一度はインプラント治療を断念しました。しかし、本人の希望が強く、7ヶ月間発作がないことや心電図や超音波でも病変の改善が認められたため、リスク説明を十分に行った後、治療へと至りました。手術は静脈内鎮静法を併用、梗塞が発生するのを予防するために通常は中止をする血液抗凝固薬は継続使用しました。手術は1時間40分で終了しています。

参照元:【PDF】「イ ンプ ラ ン ト治 療 の適 応 に苦 慮 した2例│日本有病者歯科医療学会雑誌Vol.13 No.1
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjmcp1992/13/1/13_1_7/_pdf/-char/ja

そもそも心不全とは?

心不全とは、心臓の機能が低下している状態のことです。血液を送り出すという、心臓のポンプ機能に支障を来すため、全身に血液が行き届かなくなり、臓器などに障害が出てきます。病気が進むと、肺に水がたまり、呼吸が苦しくなったり、腎臓への血流が低下して尿が出なくなる、全身がむくむなどの症状が出てきます。心不全は症状のことであり、原因は虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、心臓弁膜症、高血圧などが考えられます。治療は内科的な服薬が中心ですが、重症になるとペースメーカー、カテーテル手術などもおこなわれます。

心不全のインプラント治療は、周到な準備が大切

ご紹介してきたように、心不全でインプラント治療を受けるには、状態が安定していること、そして、検査など事前によく準備をしておくことが重要です。主治医と歯科医師との連携が取れる環境が必要となりますので、協力してくれる医療機関を探しましょう。

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