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こちらではインプラント手術の種類である即時荷重について解説。インプラント体の埋入後48時間以内にアバットメントと仮歯を装着する方法となっていますが、どのようなメリットとデメリットがあるのか、どのような施術例があるのかを取りまとめてご紹介しています。ぜひ、参考にしてみてください。
一般的なインプラント施術の場合、インプラント体を顎の骨に埋入してから、数週間程度、顎の骨に強く固着するのを待ってからアバットメントおよび上部構造物を装着します。対して抜歯即時とは、インプラント体の埋入から48時間以内にアバットメントと仮歯を装着してしまうというやり方。実際には、インプラントの埋入を行った当日にアバットメントと仮歯も装着するというケースがほとんどです。
従来では不可能でしたが、医療技術の進歩によって、こうしたやり方も可能に。ただし誰でも即時荷重が可能とは限らず、後述するように一定の条件をクリアしていなければならない点に注意が必要です。
従来のインプラント施術ではインプラント体を埋め込んでも、待機期間中は歯のない状態で過ごす必要がありました。
その点、即時荷重の方式であれば、インプラント体を埋入してすぐに仮歯も装着することが可能。とりわけ人前に出る職業の方や話すことが求められる職業の方には、大きなメリットと言えるでしょう。また食事に関しても、柔らかいものであれば、その日から噛むことができます。
本来であれば、インプラント体が骨にしっかりと固定されるのを待たねばならない期間に仮歯まで装着してしまうやり方ゆえに、インプラント体がずれてしまったり抜けてしまうというリスクがあります。また食事の際も、固いものを噛むのは避けなければなりません。
また、誰でも行えるというものではなく、骨質がしっかりしていて十分に密度と量があることが必須条件。加えて施術を行う歯科医師にも高い技術と豊富な経験が求められます。
以下は昭和大学歯学部顎口腔疾患制御外科学教室がまとめた即時荷重のインプラント施術に関するレポートの内容です。
ある調査によれば、即時荷重をかけたインプラント28本のうち、10年の間に脱落してしまったのは4本。別の調査では、顎無歯顎患者に埋入したインプラント体のうち、即時荷重のものは40本中8本が脱落したのに対し、同患者の従来方式で埋入したものは90本中4本の脱落であった、と報告されています。
こうしたことから、即時荷重は良好な成績が確認できる反面、治療術式がそれぞれで異なり、標準的な即時荷重の治療法ではなかった、と指摘しています。
歯の無い期間がなくなることは患者にとってメリットとなりますが、一定のリスクもあり、骨量などの向き不向きがある施術方法です。
以上の通り、即時荷重は歯が抜けてしまっている期間を大幅に短縮できる、というのがメリット。人前に出るお仕事の方にはまさにうってつけと言えます。一方で、即時荷重の標準的な治療法よりもケースによって術式が異なるケースが多く、一定のリスクがあるため、慎重な対応が求められるという点も、留意しておく必要があります。