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金属アレルギーとインプラント

インプラント治療はあごの骨に器具を直接埋め込みますので、金属アレルギーの方は、治療が受けられるかどうか気になるのではないでしょうか。一般的にインプラントはチタンなので金属アレルギーの方はできない可能性もありますが、ジルコニアで作られたインプラントなら受けられることもあります。

インプラントはアレルギーを起こしにくい

一般的にインプラント治療に仕様する機器はチタンでできており、このチタンはペースメーカーや人工関節などさまざまな医療器具に使われています。金属アレルギーを持っている方の場合、このチタンによってアレルギー症状を引き起こす可能性がありますので注意が必要です。インプラントではアレルギーを起こしにくいと言われることはありますが、中には金属を排除したメタルフリー治療を推進している医院もあります。

金属アレルギーでもインプラントができた事例

過去には金属アレルギーを持っていてもインプラント治療ができた事例はあり、ここでは一つ紹介します。70代女性の患者に対して行われた治療であり、以前から金属アレルギーの症状も出ていたうえにパッチ試験の結果もしっかりと金属アレルギーであることを示していました。そこでもともと使用していたブリッジなどの補綴物をチタン製に変更し、半年間経過観察を行ってみたところ症状が見られなかったため、インプラント治療を実施しました。現在では最終上部構造を装着してから2年以上が経過しているものの特に大きな問題なく経過も良好な状態であるという事例です。

参照元:【PDF】日本口腔インプラント学会|金属アレルギー患者に対するインプラント治療:チタン製修復物による暴露試験を行った1症例(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsoi/20/2/20_293/_pdf/-char/ja)

金属アレルギーのインプラント除去事例

前項では「金属アレルギーでもインプラント治療が実施できた事例」を紹介しましたが、今度は反対に「インプラントを除去した事例」を紹介します。患者は25歳の女性で、もともとは金属アレルギーの自覚症状を持っていなかったケースです。インプラント治療を実施したあと、アクセサリーなどを装着した際にかゆみなどの症状が出てくる状況となり大学病院にて検査を行ったところアレルギー反応の結果を確認したためインプラントの除去を実施しました。

参照元:【PDF】東京歯科大学学術機関リポジトリ|金属アレルギーにおけるインプラント除去の1症例(https://ir.tdc.ac.jp/irucaa/bitstream/10130/806/1/104_491.pdf)

口腔内の金属はアレルギーになりやすい

前述の通り、口腔内であれば唾液を介して金属がイオン化し、生体組織と反応することでアレルギー症状を引き起こす可能性があるといわれています。一方でそういった現象が起こらないような素材、たとえばジルコニアであれば「不動態」という性質のため、こういったイオン化が起こらないといわれています。

金属アレルギーの症状

口腔扁平苔癬

口腔扁平苔癬は「こうくうへんぺいたいせん」と読み、口腔内で起こる金属アレルギー症状の一つです。口腔がんになる可能性がある、いわゆる「前がん状態」にあたる粘膜疾患であり、口腔粘膜以外の皮膚にも発生する可能性がある症状です。口腔粘膜にレース状・網状の模様を呈し、日時の経過とともに赤身を帯びたり出血・痛みを伴うこともあります。

掌蹠膿疱症

掌蹠膿疱症は「しょうせきのうほうしょう」と読み、膿みが溜まった「膿疱」と呼ばれる皮疹が数多く見られる病気です。他の皮膚病などと混同されることもあるため、正確に判断するためには各層の一部の菌などを調べる必要があります。症状が口腔内でなくとも、口腔内のインプラントが原因で発症する可能性もあるため注意が必要です。

金属アレルギーの方がインプラントを受けるには

金属アレルギーを持っている方でインプラント治療を希望される場合、まずは医師に相談のうえバッチテストを受けるようにしましょう。また、これまでにも説明した通りジルコニアなどの「不動態」性質がある素材を使用したインプラントを選ぶことで、金属アレルギーを持っている方であってもインプラント治療が可能な場合もあります。予算も含めて医師と相談をしながら、どのように治療を進めていくか決めるようにしましょう。

金属アレルギーでも諦めなくて大丈夫

ここまで解説した通り、金属アレルギーの自覚症状がある方でもインプラント治療は受けられる可能性があります。ただし、アレルギーは命にも関わる症状を伴うことがあるため、必ず医師と相談しながら治療を行うようにしましょう。

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