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糖尿病の人は歯周病になりやすいと言われています。
また、インプラントには複数の禁忌症がありますが、糖尿病もまた症状や進度によってはそのひとつになります。
なぜなのかを原因や理由と共に詳しく説明しています。
関連ページ:インプラント手術ができない症状や習慣とは(https://www.dentist-oralproblems.com/howselect/implant-cannot.html)
参照元:【PDF】「口腔インプラント治療指針2020 検査法・診断からリスクマネジメントまで」|公益社団法人 日本口腔インプラント学会(https://www.shika-implant.org/publication/dl/2020_guide.pdf)
糖尿病を患うと免疫力の低下などが見られることから、インプラント治療には一定のリスクが伴います。そのため糖尿病の進行度によっては、インプラントを避けなければなりません。
さらには、糖尿病は合併症が引き起りやすい病気でもあります。ほかの病気を併発するなどしているために治療が見送られることも考えられます。
しかし、糖尿病を患っていたとしても、血糖コントロールがしっかりと行われていれば、健常者と同様にインプラント治療も受けることは充分可能です。
また、糖尿病患者の場合は、インプラント治療後にもきちんとした血糖コントロールが求められます。
インプラント治療後は咀嚼機能が向上し、色々な食べ物を歯のことを気にせず美味しく食べられるようになります。
そうすると過食傾向に陥ることがあり、血糖値が上がってしまうことがあります。
過食にならないよう、糖尿病の主治医と歯科医と患者が連携し、正しい食生活を送るようにしなくてはなりません。
参照元:【PDF】「口腔インプラント治療指針2020 検査法・診断からリスクマネジメントまで」|公益社団法人 日本口腔インプラント学会(https://www.shika-implant.org/publication/dl/2020_guide.pdf)
糖尿病患者がインプラント治療を受けたいと考えるのであれば、歯科医師の診断を受けるだけでなく、糖尿病の主治医にもまず相談が必要です。
どんな病気でもそうですが、複数の病院やクリニックに通っている場合は、薬を処方されたことや、手術を受けることをほかの医師たちにも伝えておきましょう。
インプラント治療を受ける際には、糖尿病患者は血糖値をしっかりとコントロールしていなければなりません。
血糖がコントロール不良だと免疫力が低下し、細菌に感染しやすくなってしまいます。
せっかくインプラントを埋入しても、血糖値が高いと脱落する可能性もはらんでいます。
糖尿病患者に対するインプラント治療は、血糖コントロールの状態にもよりますが、低侵襲な治療であることがのぞましいです。
「低侵襲(ていしんしゅう)」とは、体への負担(侵襲)が低いという意味の医療用語です。低侵襲治療では手術はもちろん、検査においてもできる限り患者の体の負担にならないようにほどこされます。
例えば、手術の際には切開部分を小さくしたり、そもそもメスを使わないような治療法が選択されます。
参照元:【PDF】「口腔インプラント治療指針2020 検査法・診断からリスクマネジメントまで」|公益社団法人 日本口腔インプラント学会(https://www.shika-implant.org/publication/dl/2020_guide.pdf)
糖尿病患者にインプラント治療をほどこした経過に関するレポートがあります。
これによれば、インプラント治療を行った患者のうち、糖尿病を指摘された人は7名。平均年齢は65歳でした。
その7名の中では、1名のみが血糖値のコントロールがあまり良好ではなかったとの報告があります。
インプラント治療をほどこしたのち、60か月、つまり5年が経過した際の追跡調査もレポ―トには記載されています。
7名の患者に対し、それぞれのインプラントは合計24本。その残存率は86.7%でした。
しかしながら、脱落したインプラントは糖尿病における血糖値がコントロール不良であった患者の分も含まれています。
その分を除けば、インプラントの残存率は89.7%と9割近くに上ります。これは健常者の治療データと大きな差が見られないものでした。
つまり、血糖値がきちんとコントロールされていさえすれば、糖尿病患者でもインプラント手術は可能であると言えます。
参照元:【PDF】糖尿病患者に埋入したインプラントの臨床経過(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsoi/17/3/17_345/_pdf/-char/ja)
糖尿病は、インスリンという膵臓(すい臓)から分泌されるホルモンの一種が不足したり、充分に作用しない病気です。インスリンの働きが落ちると、血糖値の上昇を抑制する力が弱まってしまうため、高血糖が慢性的に続いてしまいます。
糖尿病が重症化した場合、血液の中に含まれる糖が尿にまであふれ出し、排出されます。すると、尿から甘い匂いが感じられることから、この病名で呼ばれるようになりました。
糖尿病が危険であるのは、その自覚症状のなさです。知らず知らずのうちに重い合併症が進行していき、網膜症・腎症・神経障害を引き起こし、さらには大きな血管にまで動脈硬化が進行してしまいます。
糖尿病になり血糖値が上がると尿の量が増える場合があります。すると、体内の水分が不足しがちになり、それを補おうと喉が渇くという症状が見られます。
糖尿病患者に口の中が乾きやすくなる人がいるのはそのためです。
唾液の分泌も低下してしまうので、口の中の汚れが落ちにくくなり、口臭がきつくなることがあります。
糖尿病患者は免疫力の低下が起こるため、歯周病になりやすいと言われています。
歯周病を引き起こす歯垢(プラーク)は細菌の塊からできており、歯茎を炎症させて組織を壊してしまいます。
しかし、糖尿病の患者は高血糖の状態が長く続いていて、白血球の機能が落ちており、細菌の感染に対する抵抗力が弱くなっています。そのため、炎症をなかなか食い止められず、歯周病が悪化してしまうのです。
しかも、前述したように糖尿病は自覚症状の少ない病気であることから、患者本人は自分が罹患していると気づいていないことがあります。
もしも、急に歯周病が酷くなったという場合には、糖尿病を疑ってみてください。
あらかじめ糖尿病であるとわかっていれば、血糖コントロールなどインプラントを受ける際にもさまざまな治療方法を医師と一緒に考えることができます。
より問題なのは自分が糖尿病だと気づいていない場合です。いつのまにか重度まで進行しているケースもあり得るので、健康診断などをきちんと受け、確認しておきましょう。