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貧血の人がインプラントするときの注意点

外科的な手術を行うインプラント治療には、複数の禁忌症が存在しています。
禁忌症とは、インプラントを受けることができない病気のことで、ガイドラインも定められています。
貧血の場合は、これに該当するのでしょうか? 詳しく説明いたします。

関連ページ:インプラント手術ができない症状や習慣とは(https://www.dentist-oralproblems.com/howselect/implant-cannot.html

参照元:【PDF】「口腔インプラント治療指針2020 検査法・診断からリスクマネジメントまで」|公益社団法人 日本口腔インプラント学会(https://www.shika-implant.org/publication/dl/2020_guide.pdf

貧血はインプラントができない場合がある

「貧血」は、血液を流れる赤血球に含まれる「ヘモグロビン」という物質が低下することで起こります。

男性の場合は、13.0g/dL以下。女性では、12.0g/dL以下で貧血と診断されるのが一般的です。

また、女性には月経があり、定期的に出血をすることから男性よりも貧血になりやすい傾向があります。

「ただの貧血」と軽く見られてしまったり、自覚症状がない場合もあることから見過ごされがちな疾患です。

しかし、貧血は血流に乗って酸素を運ぶヘモグロビンの数値が低下するので、体にさまざまな不調が現れてしまうのが問題点。

まず、貧血によって充分な酸素が体の隅々まで運ばれなくなると、治癒力や免疫力が低下していきます。

その場合、インプラント手術を受けたい際には、骨の結合や縫合跡の治癒が妨げられたり、手術後に細菌感染するリスクが高まってしまうのです。そうなるとインプラント周囲炎が起こる可能性もあり、インプラント手術は難しくなってしまいます。

ヘモグロビンの数値が低い場合には、まず貧血をしっかりと改善してからインプラント手術を受けましょう。

参照元:「歯科インプラント治療時に注意すべき加齢に伴う臨床検査データの変化」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsoi/30/4/30_268/_pdf/-char/ja

参照元:「出血性急性貧血の創傷に及ぼす影響」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjoms1967/26/4/26_4_919/_pdf/-char/en

参照元:【PDF】「口腔インプラント治療指針2020 検査法・診断からリスクマネジメントまで」|公益社団法人 日本口腔インプラント学会(https://www.shika-implant.org/publication/dl/2020_guide.pdf

貧血でもインプラントを受けるには?

主治医との連携

貧血であっても症状によってはインプラント治療を受けられます。
しかし、その判断にはまず主治医と相談することが求められます。
主治医と患者と歯科医師が連携し、治療法などを決めていくのが理想的です。

ヘモグロビン濃度のコントロール

血液中に流れるヘモグロビンの量は濃度で表されます。この濃度が減少すると貧血を引き起こしてしまうため、患者は医師の治療を受け、ヘモグロビン濃度をコントロールする必要があります。

切開を伴わないフラップレス手術なら出血が少ない

貧血は治癒の遅さが懸念される症状です。インプラントを受ける際には、なるべく切開をしないような治療法が求められます。

症例にもあるように、貧血の症状が現れている場合には、歯肉をメスで切開することのない「フラップレス手術」なら出血量も少なくて済みます。

「フラップ」はインプラントを埋め込む際に切開する歯肉の部分のことで、「レス」というだけにフラップレス手術ではその歯肉にメスを入れることはありません。

それではどのように手術を行うかと言うと、サージカルガイドという、コンピューターシミュレーションから得られた情報によって作成された器具を用い、パンチ状の器具で歯肉の適切な場所に穴を開けてインプラントを埋め込むのです。

このフラップレス手術は出血が少ないのが特徴で、貧血の患者の体にも負担の少ない治療が行えます。

貧血症のインプラント事例

貧血症の患者がインプラントを受けた場合の事例を紹介します。
患者は63歳の男性で、「再生不良性貧血」を患っており、薬歴は10年です。

再生不良性貧血は、血管の中を流れている赤血球・白血球・血小板の全てが減少する病気。骨髄に存在する造血幹細胞の機能が何らかの原因によって損なわれていると考えられています。

血小板の数値が少ない状態であるため、一旦出血をすると血が止まりにくくなります。

そのため、インプラント手術をほどこす際には、切開の少ない「フラップレス手術」でこの症例に対応。フラップレス手術は歯茎の切開・剥離・縫合を極力行わずにインプラントを埋入できる治療法です。

手術前に、シミュレーションソフト「SIMPLANT(シムプラント)」により、歯と骨の硬さ・形、さらには神経の位置などの詳細を3Dグラフィックスで再現。

この情報をもとにサージカルガイドプレートを作成し、コンピューター・シミュレーションと同じ位置にインプラントを埋入。出血を可能な限り抑えます。

参照元:【PDF】「フラップレスでインプラント埋入術を施行した出血性要因を有する2症例」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsoi/28/4/28_515/_pdf

そもそも貧血とは?

貧血は特に若い女性に多く起こる症状で、成人女性の場合には約10%が該当すると言われています。

比較的によく見られる症状であることから「ただの貧血」と捉えられることも少なくはありません。

しかし、貧血は胃潰瘍での出血など、何らかの病気が原因という場合もあります。検査の際に異常な数値が見られる場合はきちんと治療を受けましょう。

検査値は、ヘモグロビン濃度など、赤血球の数が基準よりも低い数値だと貧血と診断されます。

貧血の種類

一口に貧血と言っても症状や原因によっていくつかの種類に分かれています。

小球性低色素性貧血

「小球性低色素性貧血」は「鉄欠乏性貧血」とも呼ばれています。
これは偏食などによる鉄分の摂取不足が原因であることが多く、体内で鉄が不足しているため、ヘモグロビンが充分に作られておらず、赤血球の容積が小さい傾向があります。
また、成長期・妊娠・授乳・月経といった鉄分を多く失う時期にも起こりやすい症状です。
食事の際には鉄分をしっかり摂り、月経による出血量が多い場合などは、鉄分を補うために医師が処方することもあります。

正球性正色素性貧血

「正球性正色素性貧血」は、「骨髄異形成症候群」と呼ばれることもありますが、一般的には「白血病」という言葉が広く浸透しています。

血液を作る骨髄の機能に異常が起こり、赤血球・白血球・血小板などが減少する症状です。「難治性貧血」「骨髄不全症候群」とも呼ばれ、3分の1の患者が「急性白血病」に移行する危険性をはらんでいます。

高齢者の貧血の際に疑われる症状で、現代の医療では造血幹細胞移植がほぼ唯一の治療法であると言われています。

大球性高色素性貧血

「大球性高色素性貧血」は、「巨赤芽球性貧血」や「悪性貧血」とも呼ばれる症状です。
赤血球の容積が大きい傾向があり、偏食や、成長期・妊娠・授乳などによってビタミン12や葉酸が不足することによって引き起ります。
ビタミン12や葉酸が不足すると貧血になってしまうのは、赤血球を作る際にはビタミン12や葉酸を必要とするから。
食事を栄養バランスの摂れたメニューに改善したり、もしも過度なダイエットをしている場合には改めると、ビタミン12や葉酸の不足は解消されることが多いです。

貧血をしっかり治療してのぞみたいインプラント

インプラントは貧血でも受けることのできる治療法ですが、症状によっては術後の治りが遅かったり、感染症のリスクも伴ってしまいます。
まずは貧血の治療をしっかりと行い、それからインプラント手術を受けるようにしましょう。

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